わたしの知らない町に住むあの子との長電話では今を口にしているのに気持ちはタイムマシーンにのってすっかり昔にいたけれどそれはたった一年前にいた場所だったことにハッと驚いたのはしょうがないね。この町に馴染めないままに毎日ベランダで白い息を吐きながら眺めていたただの高いタワーはいつのまにか世界一高いタワーになってさらに私を上からみおろす今ではすっかり吐く息も透明になったから少しまた何かを失った気になったりするけれど来年もまた私の耳元であの子の笑い声が変わらず電話越しに聞こえてくるのだろうという安心感に今日はいつもより気持ちが穏やかでいられるみたいだから、
3月よ、健やかにおやすみなさい。