2013年4月10日水曜日



  ちょうど4年前の私は改札の前で小さくなる背中を眺めていた。

  ちょうど3年前の私は朝の隅田川で一人桜を眺めていた。

  今年の桜は既に散り、私は眺めるものもなく身をかがめて歩いた。


  かつての大声で笑う透明人間は実態の体を手に入れ

  自分がどんな顔で笑うのかを知ったけれど、

  あの人は未だ視力を失ったままだろう。

  信号が青に変わったとき、だれが教えてくれるのだろうか。



  そんなことはもう考えてくれるなと幾人かの人がいうけれど
 
  視力を奪ったのはこの私。