2012年11月12日月曜日

馴染みのない駅名を聞きながら

ついさっき買った文庫に目を落とせば、

不意に目に入ってきた地元の駅の名前。


小説の中の主人公が、
私の生まれ育った街で暮らしているという偶然。


私は慣れない土地に身を置き、

頭でふるさとの電車の色や風景を思い出いていた。


青い電車だとか黄色い電車だとか。

遠くに見える富士山だとか、真っ赤な夕日だとか。

窓から見えるラブホテルの看板だとか。

そういうものたちを

真っ暗な地下鉄の窓に重ねて眺めたのだ。



仕事の都合で九州へ行き、

やっと足を運んだ福岡で、

改札の向こうには、見慣れた顔が立っていて、

卒業アルバムを見せられたような、妙な安堵を覚えました。



みんな相も変わらずに、でもちょっとずつ大人になっている。



わたしは何が変わったのだろう。
わたしは今何を誇りに思って過ごしているのだろう。


少し前を振り向いて、ずっと先に目を凝らす。


どうも、今をじっと見つめることができない毎日です。