帰り道すこし遠回りをして目黒川の桜を見る。
また、春が来たのだなと思う。
「花が咲いたら記念にとカメラを構えるけれど
来年も当たり前のように咲くと思えば
別に特別なことじゃないのかもしれません。」
三年前の春に書いた言葉を引きずり出して思う。
これから起こる日々は特別なことではないことなんだと
自身に言い聞かせる為に書いた言葉。
そんな文章を私はもう書くことが出来ない、と
当然かのように訪れた春を目の前にして今思う。
季節だけが不変のものとしてめぐり鮮やかな花を咲かせ
それを見上げる私はその不変さを羨み、妬み、
ちらほらと咲き始めた桜をどうしても睨むことしか出来なかった。