2013年1月13日日曜日



 突然目の前に現れた紙袋の底の東京タワーは

 近くに行ったから、と買ってきてくれた贈りもの。

 わたしの知らないところで

 わたしのことをふっと思い出していた

 ということでもあるのだなとぼんやり思う。

 今日は奇跡の話をしたけれど

 それもまた奇跡なのかもしれません。



 奇跡なんて言うのは少しダサイけれど

 私はあした奇跡の小さな東京タワーをぶら下げて

 とても遠くの街へいく。






『奇跡』  谷郁雄



毎日
奇跡のようにやって来るのは
昨日の続きのような
平凡な朝

特別な事が起こる奇跡ではなく
数日前に降った雪が
まだ
屋根や道路に残っている奇跡
川が流れ続け
雪が様々な模様を
描いている奇跡
駅への坂道が曲がりくねって
駅へと続いている奇跡

死んだ友達や
大切な人や
ペットが
生き返るのではなく
ぼくの心の中で
生き続けている奇跡

朝ごとに繰り返し飲む
コーヒーの味が
同じ苦さであることの奇跡

どれだけ外が寒くても
ぼくの体温が
一定であることの奇跡

そして

ここにないものを
自由に
想像できる奇跡