2012年6月22日金曜日



嵐の夜に届いた声がある。

一言二言かわすだけであったそれは

妙に懐かしく、気まぐれにかかってきたさすらいの声だった。

目を真っ赤にして真っ白な息を吐いた

真夜中のコンビニを思い出し

未完成のタワーを眺めた毎日を懐かしく思った。

誰かがわたしのしらないところで

わたしのことをふっと思い出しているということが

なぜだかその日はとてつもなく不思議に思え、

なんだか妙に嬉しく思った。

そして逃げるようにして後にしたあの街に

わたしはあの嵐の夜、救われていた。