すこすこと擦れ合う音の中で
消えてしまいそうな記憶と見つめ合い
生き残ってしまった兵士のように
ぶらりと街頭のない道を歩きます。
しげしげと与えられた眼差しの中で
飽和する感情を受け止めるべきかと
行くべき道を見失った迷子のように
じっとりと人間の往来を眺めています。
気付けば名も知らない場所へ辿り着き
記憶の吹雪にもみくちゃにされた私は
電波を伝って聞こえたその声を頼りに
やっとこさ一日をやってのけ
当たり前のようにやってくる明日を
見るともなく睨みながら
記憶の隙間に立ち尽くす私に警告する
しっかりせーよと千里眼の声。