2012年6月29日金曜日



最近どうしたものか、ものすごくぼんやりしている。
特にひとりになったとき。
急に現実味がなくなるのだ。
じわじわとではなく、
ブレーカーがバチンと落ちるように
急に現実は姿を消すのだ。

ブレーカーが落ちたあとの時間の流れは
まだわたしに夏休みというものが
年に一度確実に巡ってきていた頃の感覚に似ている。

時間は予定によって細切れにされることはなく、
同じ幅をもってずっと果てまで伸びているような感覚になる。

頭の中には翳りゆく部屋で
少しずつではあるが確実に傾いていく太陽の位置を
確認している自分の姿があり、
張り巡らされている電線の複雑さを思い出すのだ。

ベランダに置かれた草花のつぼみをつつくスズメを思い出し
見たこともないスズメの巣の存在を思い描いてみるのだ。

もちろんその時間がいつまでも続くわけではないし、
その流れに身を長く置くことは許されないものだとわかっている。

携帯はポケットの中で
わたしをもとの場所に引き戻そうと必死に震えている。

ただ一度おりたブレーカーを持ち上げるには
それなりの踏ん張りが必要なのだ。

どっこいしょとそれをなんとか持ち上げたとき
細切れにされた時間は姿を現し、
あれをしろ、これをしろと急かすのだ。




わたしにはやるべきことがある。

現実に身を置く必要がある。

そう努める必要がある。