この街にきて、初めて旅行をした。
あの街を離れて、ちょうど一年が経って、
やはりまたこの一年を振り返れずにはいられず、
いつも乗っているはずの銀座線にゆられながら
何となく違和感を感じる。
今まで帰ってきたということを感じるのは
少しよそよそしい中央線からの風景だったのに、
私は真っ暗な窓の外を見ながら、
これが私の新しい家路なんだと思えば、
変化を感じ、懐かしいものばかりに包まれたいと、
願ってしまった。
なにかが変わっても戻れる開け放たれた窓のような存在が、
今の私には欠落しているから、
こんなにも日々が不安定なんだろうと思って、
白い息を吐きながら、
もっと違うものまで吐き出せたらいいのにと、
さらに白い息を吐き出したりした。
こんな時は誰の声を聞けばいいのだろう。
今日は楽しかったのに、クルシイ。