私はあまり涙を流さなくなった。
それはいいことなのだろうと思う。
きっと楽しいのだろうと思う。
ただ心の振り幅がぐっと狭まったようで、
なにか大事な感情を手放してしまったみたいだ。
もうそこにはいたくないと必死に背を向けた結果だ。
自分が望んだことだ。
目がにじむという感覚。
鼻がぎゅーっとしびれる感覚。
私のことだ、きっとまたすぐ訪れるだろう感覚たちの不在は、
妙に私を焦らせる。
体はこの日々に満足している。
心はこの日々を少し寂しがっている。
私は今すこし壊れているのかもしれない。
良好こそが不完全な生き物。
要はないものねだりな贅沢者。
大馬鹿者ってやつだ。
久しぶりに見たそれは変わらず堂々と私を見下ろしていました。