わたしはコレが欲しいという。
隣の人はソレをいらないという。
また隣の人はアレが足りないという。
そのまた隣の人はどれも必要だという。
少し離れた人はもう何もいらないという。
わたしは誰かを羨んで
誰かはわたしを羨んでいる。
どれもエイヤッと勇気を出せば手に入るものかもしれない。
今両手で抱えているものをパッと放り投げれば
新しいものが手に入るのかもしれない。
ただ、放り投げる勇気もなく、
今両手をいっぱいにしているものにわずかなる希望をかけて
手に汗を握りながら過ごしている。
幾重にも広がる選択肢の中で
今握りしめている一本の糸を
ふっと見つめ直すと
どうしてそんなに必死につかんでいるのかわからなくなる。
いや、そんなことを言って
この選んだ道から目をそむけちゃいけないのだろう。
どの道を選んだって結局同じことをわたしは言っている。
わたしはわたしを羨めるようにならなくてはならない。
他人などに目をくれるな。